「新しい仕事の職種名が、希望する在留資格に合っていれば変更できるのでしょうか」。答えは、職種名だけでは決まりません。実際に行う活動がその在留資格に該当し、適用される基準に適合することなどが審査の前提になります。
準備の出発点は、資格名に合う肩書を探すことではなく、入社後に何をするのかを具体的にすることです。本人が想像している仕事と、企業が任せようとしている仕事をそろえるところから整理してみましょう。
「変更」は別の資格へ、「更新」は在留期間に関する手続
出入国在留管理庁の説明では、在留資格の変更とは、在留目的を変えて別の在留資格に該当する活動を行うため、新しい在留資格への変更許可を受けることです。「在留資格の変更」と「在留期間の更新」は、まず、資格を変える話なのか、期間を更新する話なのかを区別すると整理しやすくなります。
就職や転職を考えるときも、「新しい会社に入る」という出来事だけで考えず、現在の在留資格と、これから行う活動を並べてみることをお勧めします。この記事では、そのうち別の在留資格への変更を検討する場面を扱います。
職種名だけでは判断できない理由
出入国在留管理庁の「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」は、行おうとする活動が申請する在留資格に該当することを、許可に必要な要件としています。これが「在留資格該当性」です。言葉は難しくても、問いは「その資格で認められている活動と、実際にすることが合っているか」です。
これとは別に、上陸許可基準への適合という確認があります。同ガイドラインでは、入管法別表第一の二の表・四の表に掲げる在留資格の活動を行おうとする人について、変更時にも原則として上陸許可基準への適合を求めています。すべての在留資格に同じ基準を当てはめるのではなく、希望する資格に適用される基準を確かめる必要があります。
つまり、「活動が資格に当てはまるか」と「その活動について適用される基準を満たすか」は、別の確認です。さらに、許否は活動や在留状況、在留の必要性などを総合的に考慮して判断されるため、この二つだけで許可が保証されるわけではありません。
仕事内容は肩書ではなく、担当する作業まで具体化する
実務上の整理としては、職種名をいったん脇に置き、「何を対象に、どんな作業をして、何を仕上げるのか」を書き出す方法が役立ちます。その内容を、希望する在留資格の活動の説明と照らし合わせます。
仮に、採用時の職種名が「IT担当」だったとします。それだけでは、システムの設計や開発を担当する予定なのか、機器の受渡しや入力作業を担当する予定なのかが伝わりません。ここで挙げた仕事の可否を一律に判断する趣旨ではなく、同じ肩書でも説明すべき中身は異なる、という例です。
説明文を作る際は、主に担当する業務と、それ以外に予定している業務を分けてみると、仕事の全体像を捉えやすくなります。申請に合わせて実態を飾るのではなく、実態を具体的な言葉にする、という順番が大切です。
雇用契約・職務説明・本人の経歴をそろえる
出入国在留管理庁の変更許可申請の案内では、変更予定の活動内容に応じた申請書・資料の提出を求めています。また、審査基準には、行おうとする活動が虚偽でないことが含まれています。このため、準備では申請書だけを単独で完成させるのではなく、契約や配属予定との食い違いを点検することをお勧めします。
- 雇用契約:任せる業務と契約条件が、職務説明や申請内容と食い違っていないか。
- 職務説明:配属先で実際に担当する作業が、具体的に伝わる内容になっているか。
- 本人の経歴:適用される基準に応じて、学習・職歴などの事実を説明できるか。
これは一律の必要書類リストではなく、情報を突き合わせるための整理です。経歴についても、どの資格でも同じ学歴や職歴が必要という意味ではありません。まず適用される基準を確かめ、その判断に関係する事実を整理します。
例えば、仮に契約では「開発業務」とされているのに、配属先の予定では別の仕事が中心になっているなら、表現だけをそろえて終わらせないことです。採用担当者と配属担当者で予定を確かめ、本人にも共有したうえで、その実態が希望する在留資格の活動に合うかを検討し直す必要があります。
なお、ガイドラインは、就労する場合の雇用・労働条件が労働関係法規に適合していることも求めています。仕事内容が合うかどうかと、契約条件が適正かどうかの両方が確認対象です。
申請前は実態を固め、許可後も説明を引き継ぐ
申請前の確認先としては、出入国在留管理庁の「在留資格変更許可申請」のページから、希望する在留資格の案内をたどる方法があります。そこで示された活動や基準と、整理した仕事内容・契約条件・本人の経歴を照らし合わせてください。資格名だけを検索して判断するより、何を説明すべきかが見えやすくなります。
変更許可申請の申請期間は、変更の事由が生じたときから在留期間満了日以前とされています。準備の助言として、在留期間満了日と、社内で仕事内容を確定させる予定日を一緒に管理しておくとよいでしょう。
許可後の引き継ぎも忘れたくない点です。提出した説明の控えと、確定した職務内容を整理し、人事担当者が交代しても確認できるようにしておくことをお勧めします。後に配属や担当業務を見直すときも、当初の説明と現在の仕事を比較する材料になります。
在留資格変更で大切なのは、「この職種名なら通る」という考え方ではなく、実際の活動が新しい資格に該当し、適用される基準に合うことを具体的に説明することです。本人・採用担当者・配属先が同じ仕事内容を思い描ける状態にする。それが、申請内容と仕事の実態を一致させる準備の土台になります。

