「その他就労ビザ」という言葉を見かけたら、具体的にどの在留資格を指しているのかを確認しましょう。その言葉だけでは、どの仕事ができるかまでは決まりません。
自分の仕事に合う資格を探す出発点は、職名ではなく、日本で実際に何をするかです。業務内容、契約相手、報酬、本人の専門性を具体化し、出入国在留管理庁の在留資格一覧表にある活動内容と照らし合わせます。
この記事では、日常的に「就労ビザ」と呼ばれるもののうち、日本で行う活動に対応する在留資格の探し方を説明します。
資格名を探す前に、仕事を4つの観点で整理する
求人票にある肩書だけでは、活動の中身が伝わらないことがあります。最初から資格名に仕事を当てはめるより、次の4点をメモにするのがおすすめです。これは申請書類の一覧ではなく、候補を探すための整理です。
- 業務:日本で実際に担当する作業や活動は何か。
- 契約・勤務先:誰と契約し、どの機関で活動するのか。
- 報酬:どの活動に対して、誰から報酬を受けるのか。
- 専門性:活動に関係する経験、専門知識、資格は何か。
たとえば、仮に採用予定の職名が「クリエイター」だったとします。それだけでは、作品を制作するのか、舞台に出演するのか、取材撮影をするのかが分かりません。本人と会社で、実際の担当業務を同じ言葉で説明できるようにすることが、資格選びの土台になります。
入管庁の一覧では「活動内容」を先に読む
入管庁の「在留資格一覧表」には、在留資格名とともに「本邦において行うことができる活動」「該当例」が掲載されています。探すときは、該当例の職名だけでなく、活動内容の文章を先に読むと整理しやすくなります。
違いが分かりやすいのが「報道」です。一覧では、外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動とされ、記者やカメラマンが例示されています。つまり、「撮影する仕事」という説明だけでなく、どの報道機関との契約で、何のために撮影するのかが手がかりになります。
一覧表で見つかるのは、まず候補です。候補が絞れたら、その資格の個別ページに進み、予定する活動との対応や申請の案内を読む、という順番がよいでしょう。職名が似ていることと、資格に該当することは同じではありません。
宗教・芸術などは、派遣元や活動の形にも違いがある
「その他」とひとまとめにされても、各資格が対象にしている活動は異なります。資格名だけでは見えにくい違いを、入管庁の説明から見てみます。
宗教は、外国の宗教団体からの派遣が手がかり
「宗教」は、外国の宗教団体により日本に派遣された宗教家が行う布教その他の宗教上の活動です。該当例には、外国の宗教団体から派遣される宣教師などが挙げられています。宗教に関係する職場で働くというだけでなく、派遣元と本人の立場、行う活動まで具体化する必要があります。
芸術は、収入の有無と興行との区別も見る
「芸術」は、収入を伴う音楽、美術、文学その他の芸術上の活動で、「興行」に当たる活動は除かれます。作曲家、画家、著述家などが該当例です。一方、一覧には収入を伴わない芸術上の活動を含む「文化活動」もあります。
この違いを見ると、同じ「芸術に関わる」という説明だけでは足りないことが分かります。作品制作なのか、出演などの活動なのか、収入を伴うのか。活動の形まで書き出すことで、比べるべき候補が見えてきます。
「興行」や「技能」も候補を探す際に見る資格ですが、芸術に近い仕事だから興行、専門的な仕事だから技能、と名前の印象だけで決めるのは避けたいところです。予定する活動を一覧の説明と照合し、個別の要件へ進みましょう。
特定活動は「その他何でもできる資格」ではない
「特定活動」は、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動です。入管庁は、外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者などを例示しています。
宗教や報道のように資格ごとの活動内容を見る場合と異なり、特定活動では、その人にどの活動が指定されているかが重要です。「ほかの資格に当てはまらない仕事を自由に行える」という意味ではありません。
すでに特定活動で在留している場合は、法務大臣から自分に指定されている活動内容を確認しましょう。採用する会社も、「特定活動と書いてあるから働ける」と判断せず、担当させる業務と指定内容を照らし合わせることが大切です。
活動を変えるときは、変更許可と資格外活動許可を区別する
仕事に合う候補が見つかった後は、本人が海外にいるのか、すでに日本で在留しているのかで、見るべき申請の案内が変わります。たとえば入管庁の「宗教」のページでは、新しくこの資格で入国を希望する場合は在留資格認定証明書交付申請、国内でほかの在留資格から活動内容を変更する場合は在留資格変更許可申請として案内されています。
ここで混同しやすいのが、資格外活動許可です。これは、現在の在留資格に基づく活動を続けながら、その範囲外で収入を伴う事業や報酬を受ける活動を行うための許可です。主な活動そのものを変える話と、別の活動を追加する話は、分けて考えます。
「週28時間以内なら、どの資格でも別の仕事ができる」というルールではありません。たとえば「留学」「家族滞在」には、原則週28時間以内で、活動場所で風俗営業等が営まれていないことなどを条件とする包括的許可がありますが、許可を受けていることと、その条件に合うことが前提です。
資格外活動許可を受けているかは、在留カードの裏面だけでなく、パスポートの証印シールまたは資格外活動許可書も併せて確認するよう、入管庁が案内しています。カードに記載があるかだけでなく、許可された活動の内容まで見ることが実務上の要点です。
採用後も、仕事内容と許可内容の対応を残しておく
後から困らないためには、候補を探したときの業務説明を、採用や許可の後も残しておくことをおすすめします。本人と会社が、どの活動を前提に資格や許可内容を確認したのかを共有できる形にしておくと、担当者の引き継ぎにも役立ちます。
配置換えや担当業務の追加を考える際には、その記録と新しい仕事内容を比べます。業務変更のたびに必ず資格変更が必要だと決めつけるのでも、同じ会社なら問題ないと考えるのでもなく、許可された活動との対応が変わるかを見るためです。在留期限や、特定活動の指定内容、資格外活動許可の条件も、併せて管理しておくとよいでしょう。
「その他就労ビザ」の中から一つを選ぶ、というよりも、仕事の実態から正式な在留資格の候補を見つける。この順番が基本です。業務、契約、報酬、専門性を具体化すれば、資格名の印象ではなく、実際に行う活動を軸に検討を進められます。

